空き家だと譲渡所得が安くなる!?の特例
今回は「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」について書いていきます。
なんか漢字ばかりで難しそう・・・イメージもつかないと思っている方も読んでみてください。
・相続で古い家屋を取得した人
・親戚が相続中で、その相続の相談を受けている人
・FPの勉強を進めている人
税金関係て、要件が多くてすごくとっつきにくいです。
この記事ではシンプルをモットーに書いていきます。
そもそも、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例とは!?
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、一言でいうと空き家をなくすための特例です。
背景として、日本はご存じの通り高齢化が進んでいる社会です。全国的にも人口が減っているなかで、人口の都心部への集中・新築住宅の供給過多により管理されない空き家が増えてきております。
下の資料は5年の一度出される資料になりますのでちょっと古い資料ですが、1988年に空き家が394万戸あったのが、30年後の2018年には2倍強の848万戸に空き家が増えています。
この空き家の増加をなくすために打ち出した特例が、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除です。
出典:平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計
なんで空き家が悪いのか?
国は国をあげて空き家を減らそうとしています。なぜそんなに空き家が増えることを国は嫌がるのでしょうか?
政府広報を見ると、下記の理由がありました。
近隣住民に迷惑をかけます
家屋は、適切な管理がされないと劣化が早く進みます。放置された空き家は、「外壁材や屋根材の落下」、「家屋の倒壊」など保安上危険な状態となるほか、「ごみの不法投棄」、「悪臭」、「ねずみや野良猫、害虫などの繁殖」、「雑草の繁茂」など衛生面や景観の悪化などをもたらし、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。
このような適切に管理がされていない空き家があるだけで、近隣の不動産の資産価値が下がってしまうおそれや、「不審火や放火」、「不審者の出入り」など地域の防犯性が低下するとの指摘もあります。
また、外壁材や屋根材の落下、火災などによって通行人や近隣の家屋に損害を与えてしまうと、損害賠償責任を問われる可能性もあります。空き家は管理されていない家になるので防犯面にはとは国としては、空き家とは管理されていない土地であり、活用がされない
出典:年々増え続ける空き家! 空き家にしないためのポイントは?/政府広報オンライン
とありました。確かに衛生管理の面からみても空き家はよくないですね。
ただ、税収を扱う政府としてはまた別の視点もあると考えます。
みなさんの住むエリアで、なかなか古い町並みのままで再開発が進まない駅前とかありませんか?
なんで再開発が進まないかと聞くと、よく多い理由が地権者が多く再開発するための調整が大変で進まないというものです。一部の方の賛同があっても一部の方の反対があると進められないですからね。
再開発の話をしましたが、空き家があるというのは、そのエリアの一部に手を付けれない活用されない土地があるということです。そんな空き家がどんどん増えれば、そのエリア全体を活用しようと思っても結局なにもできなくて、廃れていきます。
人が住まないから、税収も減って、居住エリアが活用されず、コンパクトにもならないから都市維持の費用も減らないという悪循環があるから、空き家の減少と活用を進めているの面もあるのではないでしょうか。
法の改正により、もともと空家に対して市区町村からの指導・勧告の対象でしたが、加えて管理されていない空家も指導・勧告の対象となりました。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の内容
相続で誰も使わなくなった住宅を引き継いだけど、売却したら税金がかかるし、面倒だからそのままにしておこうかなとなってはいけません。
国としては、空き家は無くして、使用しない家や土地はより活用してもらいたいので、空き家をどんどん市場に流通させたいため、売却したときの儲け(譲渡所得)は最大3,000万円まで税金をかけないという特例をつくりました。
※特例の適用期限は令和9年12月31日まで(令和6年1月現在)
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の要件
この特例はなんでもかんでも受けるかというとそういうわけではなく、適用要件があります。適用されるには実際はかなり細かく要件がありますが、主な要件をお伝えします。
・相続開始まで居住用として使われていて、その後相続によって空き家になった家
・相続開始の日から3年後の年の12月31日までに譲渡
・売却価格が1億円以下
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除と併用できるもの
今回の空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、他の特例とも合わせて適用できるものもあります。
なお、前にご紹介した自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は併用可能です。
詳しくは税理士先生や税務署に確認してくださいね。